八田 秀雄「給水おじさんと一緒に解き明かす、疲労の謎と走りのコツ」
【第4回 ペース一定が決め手】
いよいよ本番が近づいてきました。今回は本番での走り方を考えてみましょう。初回に出てきたように、体内の糖貯蔵量はマラソンを走り切るには十分ではありません。そこで大事なことはペース一定です。糖の消費量は強度が関係し、強度を上げればそれだけ糖の利用が増えます。ですので、まずマラソン全体としてLT程度の無理のないペースで走ることです。
さらに糖の分解は、一瞬に思えるような速度の上昇でも高まる性質があります。例えばサッカーでは1試合での総走行距離は10kmちょっとくらいなのに、マラソンのように筋肉の貯蔵糖であるグリコーゲンが終盤には低下します。なぜかというとサッカーでは1試合にダッシュを40-50回以上しているからです。ダッシュというのはペース変化の究極の形です。急に強度が上がると、糖の分解と利用が高まります。ダッシュする距離は1回にせいぜい数10mなのにです。このように、短い距離でも強度を急に上げるということが、グリコーゲンを余計に消費することにつながります。選手レベルでは、マラソンでスパートは一回で決めろとも言われますが、これもスパートは強度を急に上げることですから糖の消費を高めるので、何度もやっていると糖が減って自分がペースダウンしてしまうからです。市民ランナーでも、例えばスタート直後に混雑し前のランナーを避けて右に左にダッシュしてしまうとか、給水が混雑していて取るのにペースを上げるとか、逆に給水で立ち止まってまたダッシュで走り始めるとか、こうしたことでも糖を余計に消費してしまうことになります。ペース一定というのは、無理のないLT程度のペースで走るだけでなく、ちょっとしたペースの上げ下げもできるだけ避けるということです。
糖の量が十分でないとなると、その糖を体内に増やすのはどうでしょうか。それがグリコーゲンローディングと呼ばれる方法です。古典的な方法では3日間糖摂取を減らしてその後3日間糖摂取を増やします。これはうまくいけば有効です。しかし本番直前に胃腸にかなりの負担をかけ、逆に体調を崩してしまう危険性もあります。できるだけ普段通りの食事を心がけて胃腸の調子を整え、前日や当日に少し糖摂取を増やす程度とするのも、特に胃腸の弱い方にはよいと思います。トレーニングと同じで、直前の食事や調整も自分に合った方法をみつけることです。
4回にわたりコラムを書かせていただきました。お気づきと思いますが、各回のタイトルに必ず「決め手」をつけました。その決め手は、「糖の残量」、「LT」、「強度」、「ペース一定」でした。この4つは、マラソンのキーワードとして心に留めておいていただければです。
では、みなさんにとって横浜マラソンがよいマラソンになりますように。私は完走のみを目指すレベルですが、お会いできることを楽しみにしています。
箱根駅伝関東学生連合
秋になると予選会があり、また箱根駅伝が近づいてきます。今年は箱根駅伝のテレビドラマもあるようです。そのドラマの中で関東学生連合チームが登場します。2003年の第79回大会から、出場チーム数がそれまでの15校から5つ増えることになり、その1つとしてチームとして出られなかった大学の選手が走る学連選抜が始まりました。この学連選抜という名称を今も使ってしまう方も多いのではと思いますが、今は関東学生連合が正式名称です。私が関係した東京大学では、これまで81回松本翔選手、95回近藤秀一選手、96回阿部飛雄馬選手、101回秋吉拓真選手、古川大晃選手、そして今年の102回本多健亮選手、秋吉拓真選手とのべ7名が走っています。この中で古川選手と本多選手は大学院生です。この駅伝では大学院生は学部生とは別扱いとなり、大学院生だけで10名のチームを組める大学のみが予選会を走れます。再来年の104回大会から出場校がさらに増えますが、学生連合は残ります。多様性の時代に合っている制度でもあり、寄せ集めチームの難しさはあるものの、ぜひ応援をお願いします。写真はやはり私にとって一番の思い出である101回大会での古川選手の力走です。
















































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